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2008年 01月 02日
12月3日、シェパードが我が家にやってきた。
駅に特急列車が着くと、ほんとにこの田舎町の駅にジンバブエ人がやってくるのかと、不安と期待でいっぱいだった。我が家の3人の子供たち(5歳・3歳・1歳)にとって、外国の方に会うのは、初めての出来事。びっくりして、固まらないように、2,3日前から子供たちには、シェパードについてどんな人かを何度も説明していた。天井に届くくらい背の高い男の人であること、本に載っているケニア人の写真を見せて、日本人とは違う肌の色をしていること、英語を話すこと、それからもちろん野球の選手であることも。子供たちがどんな人を想像していたのかはわからないが、電車から降りてきたシェパードを見て、少し驚いていたものの、「こんにちは」の握手をする頃には、恥ずかしそうな笑顔になっていた。シェパードの第一印象は、まずとっても背が高いこと(192センチ)、それから笑顔がイイ!21歳の男性に笑顔がかわいいと言っては失礼だが、私がジンバブエで接していた中学生・高校生の男の子たちのような、どこか少年ぽい笑顔がとても懐かしく思った。 シェパードが到着する前の晩、こちら兵庫県北部では、初雪が降った。しかも平野部では降らず、私たちの住む山の上の部分だけ、シェパードにプレゼントするかのように、うっすらと雪化粧してくれた。シェパードにとっては、もちろん初めて見る雪で、「これが雪か?」と驚いた様子で、触っていた。家に着くと、子供たちはもうすっかり、日本語の通じないシェパードと一緒に遊んでいた。一日目の夕食、私は家族5人プラス1人、6人分と思って準備をしていた。いつものように、お茶碗にごはんをよそってシェパードへ。食事が始まってまもなく、それはからっぽになっていた。「シェパード、おかわりは?」と聞くと「はい」と日本語での返事が返ってきた。それを繰り返すこと5回。結局、お茶碗6杯のごはんを食べたところで、炊飯器のごはんはからっぽになってしまった。おかずは足りていただろうか?きっと私たちに遠慮していたのだろう、一度もシェパード自身から、「おかわり」と要求することはなかった。シェパードが、野球選手であることを忘れていた私は、この日の反省をもとに、次の日からは、プラス3人と思ってご飯を炊き、お茶碗ではなく丼を使うことにした。私の家族は子供も含めて全員早食いで、あっという間に食事が終わってしまう。そんななかシェパードは食事のときはいつも、そのひとときを楽しむかのようにゆっくりと最後まで食べていた。買い物のときも、一冊の本を選ぶのにじっくりと時間をかけ、一緒に行った水族館でも、実にゆっくりとその場を楽しんでいた。子供たちの「もう一回」と何度もせがむしつこい遊びにも、根気良くいつまでもつきあってくれていた。せっかちで忙しく、仕事以外の時間でさえも、ゆったりと一緒にいることを楽しむ余裕の少ない私たちにとって、シェパードの周りに流れている時間は、ジンバブエを思い出させると同時に、「このくらいがいいなあ・・・」と思わせるものであった。この5日間、私たちはシェパードと一緒に何をして過ごそうかといろいろ考えた。農作業も手伝ってもらったし、買い物や遊びにも行った。しかし、どこに行った、何をしたという内容よりも、私たちは、シェパードと一緒に過ごすというその時間を楽しく思ったし、シェパードもまたそう思ってくれたならうれしく思う。水菜の出荷作業をしながら、またテレビの歌番組を見ながら、私たちはいろんな話をし、一緒に過ごしているその時間というものをお互いにリラックスしてゆったりと楽しんだ。野球の話題はもちろん、日本での生活のこと、今のジンバブエの様子、好きな歌手のこと(倖田来未やケツメイシが好きらしい)などいろんな会話をした。そのなかでシェパードは、「日本人も同じように、親が子供を守り、家族を思い、生活しているのだなあ」というようなことを言っていた。これは私がジンバブエで生活して感じたことと同じだったので驚いた。ジンバブエ人の生活を見て、地球のこんなに離れた場所の人たちも、私たち日本人と同じことを幸せに思い、同じことを悲しく思うのだと私も驚いたのだった。肌や髪の色が違い、生活習慣がこんなに違っていても、人はみんな家族や仲間の健康や幸せを願い、共に仲良く一緒に過ごせることをうれしく思う。ジンバブエの中学生・高校生たちも同じように、朝は鏡の前で20分も髪を触っていたり、友達関係に悩んだり、夏休みになればうれしそうに家族の元へ帰っていく様子を思い出した。 最後の夜、シェパードが好きだというので、日本のカレーを作った。市販のルウを使ったごく普通のカレーライスだ。絶対足りないことがないようにと、10人分は作ったと思う。シェパードは、我が家で一番大きなお皿に山盛り2杯食べた。「デザートも入らないくらい、今日は本当におなかがいっぱいだ」というシェパードに、私は心の中でガッツポーズをした。次回は、ちゃんとお腹がいっぱいになるように、準備しておくから、また来てくださいね、シェパード!
by amain
| 2008-01-02 01:25
| ジンバブエの風18
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